2021 年 57 巻 8 号 p. 322-329
一液加熱硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いたアルミニウム合金 A2017-T3 接着継手のモードⅠおよびモード
Ⅱ繰返し荷重下における疲労き裂伝ぱ試験を行った。疲労き裂伝ぱ速度に及ぼす被着材の陽極酸化処理の影
響について,エネルギー解放率範囲ΔG との関係から検討した。陽極酸化処理を施すことでき裂の伝ぱ機構
が変化し,伝ぱ経路が界面あるいは擬界面から接着剤中を伝ぱする凝集破壊となった。このため,き裂伝ぱ
抵抗を高める結果となったが,このき裂伝ぱ抵抗の増加はモードⅠにおいて特に顕著であった。また,モー
ドⅠき裂伝ぱ挙動におよぼす湿潤環境の影響を調査した。接着した試験片を精製水中に所定の条件下で浸漬
後,き裂面に水分を供給しながらき裂伝ぱ試験を行った場合,き裂伝ぱ速度が実験室環境下に比べて著しく
高くなることが分かった。しかしながら,き裂長さの増加とともに,腐食生成物の破面への付着が生じるため,
伝ぱ速度は急激に低下した。