2022 年 58 巻 4 号 p. 149-157
バルクラジカル重合の後期にはトロムスドルフ効果と呼ばれる反応加速がおこることがある。定性的には粘性上昇による停止反応速度の低下に起因すると説明されるものの,詳細なメカニズムは未解明である。通常,液体状態のモノマーからガラス状固体が得られる。このプロセスでは,重合によりモノマー濃度とポリマー濃度が変化する。すなわち,濃度変化によるガラス化がおこる。近年,トロムスドルフ効果の発現する条件では,ダイナミクスの不均一性が現れることがわかってきた。最近の研究で濃度変化によるガラス化がトリガーとなり,不均一性および見かけ上の相分離がおこり,トロムスドルフ効果が発現することが示唆された。本論文ではトロムスドルフ効果に関する歴史と最近の展開を紹介する。