2023 年 59 巻 3 号 p. 65-72
本研究の目的は,異なるひずみ速度の条件下での炭素繊維/ 母材樹脂間の見掛けの界面接着せん断強度に及ぼす繊維表面のサイジング処理の影響を明らかにすることである。炭素繊維のシングルファイバコンポジットを用いて静的および動的ひずみ速度の条件下でフラグメンテーション試験を行った。その結果,サイジング処理の有無によらず,負荷ひずみ速度の増加に伴い,炭素繊維/ 母材樹脂間の界面接着せん断強度は低下する結果となった。また,サイジング剤を除去した繊維を用いた場合の炭素繊維/ 母材樹脂間の界面接着せん断強度は,いずれの負荷ひずみ速度の条件でもサイジング処理を施した繊維を用いた場合のそれより低下した。さらに負荷ひずみ速度の増加に伴い,サイジング剤を除去したことによる繊維/ 樹脂間の界面接着せん断強度への影響は炭素繊維の破断時に生じた圧縮弾性応力波の発生により小さくなった。また,高ひずみ速度の条件下ではその圧縮弾性波の発生による影響の方がサイジング処理の影響より界面接着せん断強度に及ぼす影響の方が支配的であるためと考えられた。