日本接着学会誌
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研究論文
エポキシ系接着剤の接着強度に及ぼすひずみ速度の影響
西野 博貴篠崎 彰宏木本 佳克山田 浩之米津 明生
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2023 年 59 巻 6 号 p. 196-201

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抄録

広範囲なひずみ速度下における金属/ 樹脂接合体の接着強度を評価し,強度に及ぼすひずみ速度依存性を調べた。本研究では準静的引張試験,スプリット・ホプキンソン棒型引張試験(SHB試験),そしてレーザー衝撃試験(LaSAT)を用いて,広範囲なひずみ速度(10-3~107 s-1)における引張試験を実施した結果,ひずみ速度の増加に伴い顕著な接着強度の上昇を示した。この挙動は接着樹脂自身の強度特性と同様な傾向である。破断面について破壊起点は端面近傍の界面であるものの,破面全体はほぼ凝集破壊であった。また,被着材料の表面処理の影響を調べるために,陽極酸化およびシランカップリング処理を施した結果,接着強度は改善される一方,ひずみ速度の変化による強度上昇率に対しては表面処理の影響が少ないことがわかった。以上より,ひずみ速度による接着強度上昇は接着剤の強度特性に大きく依存すると考えられる。この理由として,ひずみ速度が上昇すると樹脂内部の分子鎖変形による緩和機構の変化が関与していると考察した。すなわち,低ひずみ速度での一次的緩和機構は分子鎖の曲げ変形( 結合角) が強度を支配し,一方の高ひずみ速度での二次的緩和機構では分子鎖のねじり変形が強度を支配すると考えた。そこで分子動力学(MD) 法を用いて,エポキシ樹脂のバルク体を対象に高速ひずみ速度の 108 ~ 1010 s-1 下での引張変形解析を行ったところ,二次的緩和機構では分子鎖のねじり変形が顕著になることがわかった。

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© 2023 一般社団法人 日本接着学会
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