日本接着学会誌
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総合論文
界面化学的手法を用いた機能性ソフトナノマテリアルの設計
河村 暁文
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2024 年 60 巻 3 号 p. 59-67

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抄録

あらゆる物質に存在する界面は,原子や分子のオーダーでエネルギー的に不均一かつ不安定であり,内部( バルク) とは化学的に異なった構造や性質を示す。接着分野においては,界面の特異的な環境を巧みに制御することが不可欠である。本総合論文では,接着技術の根幹をなす界面に着目し,界面の特異的な環境を利用した高分子微粒子やカプセル,薄膜などの合成とその機能について筆者らの研究の一部を紹介する。水や低級アルコールなどの限られた溶媒にしか溶解しない双性イオンポリマーと,水や有機溶媒など多様な溶媒に溶解するポリエチレングリコール誘導体との水溶性ブロック共重合体が水-クロロホルム界面を安定化してエマルションを形成できることを明らかにした。このエマルションの液-液界面を用いた反応により,還元環境に応用して内封物質を放出する刺激応答性ナノカプセルや,温度応答性シェルを有するコア-シェル型ミクロゲルの合成に成功した。また,水中に水への溶解度が低いモノマーを分散させて重合するソープフリー乳化重合を用いて,3 級アミノ基とジスルフィド架橋とを併せ持つpH/ 還元二重刺激応答性ミクロゲルや動的架橋として糖-レクチン複合体を有するグルコース応答性ミクロゲル,光照射により凝集する光二量化基を有する光応答性微粒子を創出した。一方,固-液界面での重合を利用して,分子インプリント法により動的分子認識サイトを導入したゲル薄膜をセンサーチップ表面に形成させ,標的分子を特異的に吸着して検出するセンサーチップを設計した。また,ナノサイズのシリカ微粒子表面からの重合により,表面に動的分子認識サイトを有するゲル層を有する分子認識有機-無機ハイブリッド粒子の合成に成功し,標的分子に応答してサイズが変化することを見出した。また,体温付近で液晶-等方相転移する側鎖型液晶性高分子を用いて液晶ミセルを設計し,温度に応答した相転移によって封入した薬物の放出をon-off 制御できることを見出した。このように機能性ナノ材料の設計に界面化学的手法を取り入れることにより,環境や医療分野に応用可能な物質の放出制御材料や分子センサーなど,接着関連分野のみならず,幅広い応用展開が期待できる。

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© 2024 一般社団法人 日本接着学会
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