2025 年 61 巻 2 号 p. 26-33
スギ樹皮由来のフェノール性成分を利用した樹皮フェノール樹脂(BPF)を開発するため,樹皮抽出物と市販フェノール樹脂を混合した BPF の硬化反応を示差走査熱分析(DSC)によって評価した。100℃,140℃,170 ℃の高温でスギ樹皮のアルカリ抽出を行った結果,抽出温度が高いほど樹皮抽出物の抽出率が増加した。また,抽出温度が140℃,170℃と高温になると,樹皮フェノール性成分の平均分子量は低下した。140℃,170℃抽出物を用いたBPFのDSC のピーク温度は,フェノール樹脂単体よりも低温側にシフトしたことから,これらの抽出物が硬化反応に関与したと考えられた。なお,100 ℃抽出物を用いたBPF では,このような変化は認められなかった。また,抽出物のホルムアルデヒド処理によってエンタルピー変化量(ΔH) が増加したことから,架橋結合量が増加したことが示唆された。ホルムアルデヒド添加量が抽出物100 g あたり1.0 mol で室温処理した場合にΔH は顕著に増大した。