2025 年 61 巻 3 号 p. 49-55
高分子材料におけるトライボロジー特性の向上は,SDGsの達成に向けて重要な課題の一つである。本研究では,エポキシ樹脂とセルロースナノファイバー(CNF)からなる複合材料を調製する際に,多孔性物質であるCNFクライオゲルを利用した複合材料の構造制御と,それによるトライボロジー特性の向上を試みた。その結果,CNFクライオゲルにエポキシ樹脂を含浸させ,加熱硬化することで調製した複合材料は,ボールオンディスク式摩擦摩耗試験より,純粋なエポキシ硬化物の1/4 程度の比摩耗量を示し,耐摩耗性が大きく向上した。また,トライボロジー特性に加えて熱および電気伝導性を付与した多機能材料として,CNF/エポキシ複合材料にグラフェンプレートの添加を試みた。その際,フリーズキャスティング法によりクライオゲルの多孔構造をハニカム状構造として形成することで,無秩序な構造のクライオゲルを用いた場合よりも熱および電気伝導性が向上し,さらに耐摩耗性にも優れることを見出した。