抄録
圧縮加工を施したスギ材をブロック状に切削し、板目面どうしを接着すると弾性を持つ木材(以下、弾性スギ圧縮木材)となる。この性質を家具部材に適用し、スツールとシェルフを試作した。スツールは座面部材に、シェルフは支持部材に弾性スギ圧縮木材を用いた。スツールにおいては、着座時の荷重に応じて座面がたわみ、座った人の身体になじんで心地よさが得られる。シェルフにおいては地震を想定した振動を与えると防振効果を発揮し、倒れにくい家具となることがわかった。弾性スギ圧縮木材は、人にやさしい家具の実現が期待できるこれからの木材料であるといえる。