2016 年 40 巻 1 号 p. 173-183
本研究は、通常の学級において、時間内での連絡帳の書字行動に困難を呈する児童に対し、セルフモニタリングの効果を検討した。標的行動に関するアセスメントは、教師へのインタビューと直接観察によって行った。その結果、対象児が13時30分の掃除開始時刻までに連絡帳に書字し提出する行動を標的行動として選定した。指導1 期では、対象児は、標的行動の成否について自己記録を行った。指導2 期では、指導 1 期の指導手続きに加え、担任教師が対象児に自己記録の結果に応じて付加的な好子を与えた。評価方法は、標的行動に関する行動観察と、社会的妥当性、受容性を用いた。その結果、対象児の標的行動が改善し、これは指導終了から2 ヵ月間後も維持していた。さらに、社会的妥当性と受容性も高い結果を示した。考察では、これらの結果と今後の課題について検討した。