障害科学研究
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発達障害がある子の保護者が我が子の小学校期に持った支援ニーズに関する面接調査
日野 雅子岡崎 雅北澤 拓哉末吉 彩香烏雲畢力格柘植 雅義
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2018 年 42 巻 1 号 p. 197-205

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抄録

本研究では成人した発達障害のある子を持つ母親5 名に面接を行い、我が子の小学校期を想起して当時担任や学校に対しどのような支援ニーズを持っていたのかを明らかにした。その結果、第1 に母親らは子どもが直面している困難に対し教員が速やかに適切な支援をしてくれることを望んでいた。また保護者が相談しやすい体制を校内に整え、学校内外の各種相談窓口を紹介して欲しいと考えていた。第2 に本人の発達障害に起因する特性を教員が理解し、保護者が悩む気持ちに共感して欲しいと考えていた。学校生活におけるさまざまな困難について、医師・教員と母親・本人の考えには乖離があり、保護者の支援ニーズを教員に理解してもらうのは難しかったことが示された。第3 に母親は直面している困難への支援のことだけではなく、本人の将来のことも考慮して支援策を検討して欲しいと考えていた。これら3 点は子どもが成人した今も保護者が重要だと考えている支援である。

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