障害科学研究
Online ISSN : 2432-0714
Print ISSN : 1881-5812
実践報告
発達障害学生支援における学生自身による効果評価の試み
佐々木 銀河青木 真純五味 洋一竹田 一則
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 42 巻 1 号 p. 247-256

詳細
抄録

大学の障害学生支援部署で修学支援を受ける発達障害のある学生9名を対象に、学生による修学支援の効果評価を予備的に実施した。研究の目的は、修学支援の効果を肯定的に評価した学生および修学支援の効果が見られなかった学生の特徴を明らかにすることであった。各学生に対して支援開始前(4~6月)および支援を行った後(翌年1~3月)において修学支援の効果に関するアンケートへの回答を依頼した。その結果、修学支援の後にアンケート得点の有意な増加が見られた。修学支援の効果を肯定的に評価した学生の特徴として「音声の聞き取り」や「時間管理」に関する課題を有していたことが明らかとなった。一方で、支援の効果が見られなかった学生では「講義の出席」に関する課題を有していた。今後は、講義に出席すること自体に困難を有する学生への修学支援のあり方について検討すること、修学支援の効果評価における信頼性や妥当性を向上させることが課題として挙げられた。

著者関連情報
© 障害科学学会
前の記事
feedback
Top