オレンジ・スイートのにおいが要介護高齢者の就眠前不安にもたらす影響を生理的に検討することを目的とし,要介護高齢女性12名を被験者として2泊の実験を行った。オレンジ・スイート25µl を加熱せずに加湿器を用いて拡散させた。就眠前において加湿器を顔に近づけ10分間吸入した後,居室内に充満させながら就眠した。対照は,水による加湿とした。生理評価として心拍変動性,血圧,唾液中コルチゾール,および唾液中IgAを測定した。主観評価として簡易感情尺度,熟眠感を聴取した。行動評価として睡眠中行動記録,体動回数,および夜勤巡視時情報を評価した。その結果,就眠前オレンジ・スイート吸入において心拍変動性における副交感神経活動の指標であるHF値は平均133.2(対照61.3; p<0.05)であり有意に高値を示し,9名の被験者が楽しく笑顔になりそうだと答えた。9名が寝入りばなに体動なく就眠しており,覚醒後,HF値は平均119.2(対照238.5; p<0.05)であり有意に低値を示した。10名が物事に興味や喜びを感じ安心であると答え,10~11名において熟眠感の改善が認められた。結論として,オレンジ・スイートのにおいが要介護高齢者を生理的にリラックスさせ就眠前不安を和らげることが明らかとなった。