抄録
短時間のアロマトリートメント(AT)が状態不安および状態自尊感情に与える影響を検討した。6名の参加者全員が,20分・10分・5分の3時間条件のATと安静,計6実験すべてに参加した。参加者は施術台上で5分の前安静,ATまたは安静の介入,15分間の後安静を行い,その後,机に移動した。前安静後・介入直後・机に移動後に状態不安尺度と状態自尊感情尺度に記入した。精油はオレンジ・スイート,施術は足から膝までの部位に統一した。介入内容×測定ポイント×時間条件の3要因分散分析の結果,両尺度とも机に移動後のAT条件と安静条件の差は有意となり,AT条件のみ状態不安が有意に低下,状態自尊感情が有意に上昇した。時間条件ごとの介入内容×測定ポイント2要因分散分析では,状態不安は全時間条件でAT条件が安静条件より有意に低下,状態自尊感情はAT条件において上昇したが安静条件との差は20分条件と5分条件で有意傾向であった。しかし,状態不安と状態自尊感情の相関分析では,AT・安静条件間の状態自尊感情の差が20分条件でのみ明確に示された。状態不安は5分のATでも低下するが,状態自尊感情の上昇には20分以上の施術時間が必要である可能性が示唆された。