アロマテラピー学雑誌
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研究ノート
数種の精油およびユズ種子油のフロクマリン類分析
沢村 正義鈴木 悟浅野 公人佐藤 美夢北川(木下) あゆみ佐々木 康介本澤 侑季中島 悦子吉金 優東谷 望史
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2018 年 19 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

ある種の植物の生体防御機構において産生されるフロクマリン類の中には,光感作もしくは薬物との相互作用をもつものがある。本研究は,23種類の精油および8種類のユズ種子油試料におけるフロクマリン類とクマリン類の定量分析を目的とした。ガスクロマトグラフィー–質量分析法,液体クロマトグラフィー–質量分析法および高速液体クロマトグラフィーにより,油類試料中のアンジェリシン,トリオキサレン,6′,7′-ジヒドロキシベルガモチン,ベルガモチン,オストール,ソラレン,キサントトキシン,ベルガプテン,イソピムピネリン,オーラプテンについて,4-クロロベンゾフェノンを内部標準として測定を行った。その結果,アンジェリカ(Angelica archangelica)精油のみにアンジェリシンが72.5 mg/kg,オストールが730 mg/kg検出された。トリオキサレンはジュニパー(Juniperus communis),リツエアクベバ(Litsea cubeba),レモングラス(Cymbopogon flexuosus),レモンバーベナ(Lippia citriodora)精油に少量検出された。6′,7′-ジヒドロキシベルガモチンはグレープフルーツ(Citrus paradisi)果皮油に300 mg/kg含まれていた。ベルガモチンはミカン科,セリ科植物の一部にみられるが,ベルガモット(Citrus bergamia)精油で3,550 mg/kgと最も高かった。本実験に使用した市販のユズ(Citrus junos)種子油試料中にはフロクマリン類とクマリン類は不検出または微量しか存在しなかった。一方,実験室で調製した未精製ユズ種子油にはベルガプテン10.3 mg/kg,キサントトキシン195 mg/kgが検出された。以上,本法によって,数種の精油および未精製ユズ種子油試料にフロクマリン類およびクマリン類が検出されることが明らかとなった。

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