2023 年 14 巻 1 号 p. 51-56
はじめに:腰椎椎間板ヘルニア(LDH)に対するコンドリアーゼの適応は後縦靭帯下脱出型であるが,後縦靭帯の穿破についてMRIで鑑別することが困難な症例が存在する.今回,ヘルニア脱出形態を椎間板高位によりextruding typeとmigrating typeに分類し(Komoriらの分類),コンドリアーゼの治療効果を比較検討した.
対象と方法:対象はLDHに対し椎間板内酵素注入療法を施行した26例で,extruding typeは17例,migrating typeは9例であった.下肢痛と腰痛のVAS,MRIによるヘルニアの脊柱管占拠率,ヘルニア脱出面積,椎間板高減少率を評価項目とし術前と術後3ヶ月で比較検討した.
結果:Migrating typeは,extruding typeに比較して,術後3ヶ月における下肢痛改善率,腰痛改善率,脱出面積改善率は有意に低かった.Migrating typeにおける有効群は4例,無効群は5例であり有効群では全例でMRI T2強調画像において,脱出したヘルニアに髄核と同様な高輝度変化を示し,無効群では5例中4例でMRI T2強調画像において,低輝度を呈していた.
結語:Migrating typeは,extruding typeに比較して臨床成績は劣っていたが,脱出したヘルニア内部のMRI T2強調画像において,ヘルニアに高輝度を示す場合には,効果を示す可能性が示された.