抄録
中性子散乱は、物質研究に対する最も有力な手段の一つであり、現在、世界最高性能を有する大強度パルス中性子源(J-PARC)が東海村に建設中である。中性子スピンエコー法は、中性子のスピンという自由度を導入したことにより、入射中性子のエネルギー分解能に制限されること無く、高エネルギー分解能かつ高中性子強度を同時に実現する。その結果、分子鎖のサイズに対応する空間分解能が約0.1 - 100nm において、NMR等の他の分光法では測定不可能であったエネルギー分解能 5x10-9 - 2x10-3 eVの動的過程が観測できる。我々は中性子スピン干渉の原理を用いることで従来のスピンエコー装置の設計概念を大幅に改良し[3]、J-PARCに最適なスローダイナミックス研究の分光器を提案している。本講演では、そのJ-PARCに装置設置を提案している中性子共鳴スピンエコー分光器群の概要を紹介をする。