抄録
日米軽水炉プラントの97件のトラブル事例を統計処理して得た配管破損頻度を4ループPWRプラントのレベル1PSAに適用し配管部位ごとの炉心損傷頻度に対するFV及びRAW重要度を求め、重要度指標FV=1.0E-03とRAW=2で分類された四つのリスク重要度領域に対する分布が得られた。配管破損が起因事象発生に結びつく配管部位は、破損確率を下げ健全性確保を強化すると炉心損傷頻度の低減効果が大きく、破損した場合は炉心損傷確率の増加が大きく、そのリスク重要度が大きかった。緩和系の配管部位は、健全性確保による炉心損傷頻度の低減効果は小さいものの、破損した場合は炉心損傷確率の増加が大きいものと小さいものに分散された。検査要領との比較により、例えば、リスク重要度の大きい主蒸気/主給水配管について超音波探傷検査、浸透探傷検査等の検査方法等が記載されていない一方、リスク重要度の小さい化学体積制御系ほう酸ポンプ回りの配管には同検査が義務付けられているなどが判明した。