抄録
原子力発電が地球温暖化の原因になると考えている人はほぼ半数にも上っているが、これがどのような認識、背景に導かれるのかを探るため、原子力発電と地球温暖化に関する人々の意識を調査した。その結果、原子力発電が地球温暖化の防止とする考えには原子力発電が発電時に二酸化炭素を排出しないという正しい知識の有無が影響していた。一方、原因とする考えには、原子力発電所から出る放射性物質が影響するとの誤った認識の影響が最も大きく、この誤解は原子力発電に対するネガティブなイメージによるものであると考えられる。また、地球温暖化に影響を与えるものとして多くの人が「紫外線」を挙げており、地球温暖化の仕組みはほとんど浸透していない。さらに、地球温暖化には「フロン」や「オゾン」などの物質が関係するとした回答が多いことから、酸性雨やオゾン層の破壊といった他の地球環境問題と混同しているものと推測される。