抄録
焼鈍した電解鉄に室温でMeV程度の各種イオンを照射し、ナノボイド生成過程を照射下および照射後の陽電子ビームドップラー拡がり測定により分析した。重いイオンほど大きいナノボイドを生成する傾向が現れた。Sパラメータ上昇の照射量依存性について解析を行ったところ、ナノボイド数密度は照射量の0.5乗程度に比例して増加しており、カスケードで導入される格子間原子が移動して既に存在するナノボイドに流入し消滅させているためと解釈された。また、照射中と照射後でSパラメータの測定値にほとんど差はなかったが、これは照射により生成したナノボイドが室温付近では消滅や収縮せずに残存することによる。