抄録
地層処分の安全評価では、地殻変動の1万年以上の長期に亘る将来予測が必要となり、将来予測の信頼性の基盤として過去と現在の地殻変動の連続性を確認することが重要である。本研究では、地殻変動データの分布形態に着目し、GPSデータを用いた過去と現在の双方のデータを比較するための領域区分の設定方法、及び区分する際に得られた現在の短期的な地殻変動現象と領域区分との関連性を示す。GPSデータを用いて観測点毎に水平速度ベクトル(緯度・経度方向速度ベクトル)を求め、水平速度ベクトルを変数としてクラスター分析を実施した。クラスター分析の結果、クラスターの空間分布形態が2つに区分された。これらの区分は外的要因の影響の有無によって説明される。クラスターの空間分布形態に影響を及ぼす火山活動、及び地震活動の規模は、VEI=3以上、M7以上であることが示された。