抄録
原子炉施設などの束状配管を対象した解体作業の合理化にかなう工法開発の目的で、薄肉および厚肉鋼管、ステンレス管が束状になった金属配管に対してのダイヤモンド・ワイヤーソーによる切断試験を実施した。使用ワイヤーソーは金属切断用(金属用)、および一般鉄筋コンクリート切断用(一般用)とした。金属用ワイヤーによる切断能率は高く、厚肉鋼管、ステンレス鋼管への切断も十分可能であった。ワイヤーソーの摩耗は、鋼材量2500cm2を越えてから見られたが、寿命には至っていない結果であった。一般用ワイヤーによるモルタル固化体切断については、ドレッシング効果のため切断の安定性と切断能率の保持が見られた。モルタル切断時の発生粉じんの対策が必要となるが、解体の施工条件にあえば、一般用ワイヤーによる切断は騒音、切断効率、安定性などの面から有効である。これらの切断特性から、束状鋼管の一括ブロック解体に対するワイヤーソー切断工法の適応性の見通しを得た。