抄録
原子力発電に対する国民的合意が形成されていないため、原子力技術者、電力会社、行政官庁において種々の困難に直面している。本研究では、原子力発電のリスクの正体(リスク論)を明らかにし、それに基づくリスクコミュニケーションにより、国民的合意形成を行う方法を構築しようとするものである。本研究の特徴は、合意形成のプロセスとしてのリスクコミュニケーションの手法と同時に、そこで取り上げられるべきリスクの実体(または、リスクの正体)について、リスク論に則って議論することである。リスクコミュニケーションとリスク論を組み合わせた統一的な研究を行うために、今までは独立で行われていた、社会心理学的アプローチ、経済学的アプローチおよび技術論的アプローチを組み合わせて、有機的に、一体で進める。