抄録
高速実験炉「常陽」MK-_III_性能試験炉心において、等温温度係数の測定試験を実施した。本測定試験では、炉心の系統温度を約250℃から350℃まで5ステップで昇温・降温させて各ステップ等温状態の過剰反応度を測定し、この過剰反応度の変化率から等温温度係数の測定値を求めた。本測定試験は平成15年8月26日_から_29日の4日間に亘って行われ、昇温時、降温時についてそれぞれ2回ずつ測定された。この結果、等温温度係数の測定値はすべて負の値となり、MK-_III_炉心が固有の自己制御性を持つことを確認できた。また、決定論的手法に基づく標準高速炉核特性解析コードシステムを用いた解析を実施し、測定値との比較・検討を実施した。解析では、輸送・メッシュ補正や次世代炉定数効果補正等を適用し、連続エネルギー相当・無限小メッシュによる輸送計算相当の解析値を求めた。また、等温温度係数をドップラー反応度、膨張反応度(炉心支持板の膨張、冷却材の膨張等)等に分離して求め、等温温度係数への寄与の内訳を明らかにした。なお、等温温度係数の解析値と測定値の比は、0.95_から_0.98となり、解析値と測定値は良く一致することも確認できた。