抄録
ICRPによる放射線防護体系の構成因子に「防護の最適化」がある。最近、その考え方や現場適用における手法開発の重要性はますます高まってきている。ここでは放射線防護の最適化の考え方とその変遷について整理する。ICRPによる放射線防護の目的は、有益な行為を不当に制限することなく、「行為の正当化」「防護の最適化」「線量限度」の3つの因子を柱とする放射線防護体系によって、確定的影響の発生を防止し、確率的影響の誘発を制限することである。これらの因子のうち「防護の最適化」は、1990年の基本勧告の発表以降も特に重要な事項として議論が続き、来年2005年に予定されているICRPの新しい基本勧告の防護体系の中でも、中心的な役割を担うことになりそうである。