抄録
keV-MeVエネルギーのイオンビームによる石英ガラスおよび結晶からの発光を測定し、核的衝突および電子励起による構造変化、試料、中に含まれるOH基および注入水素との関連について検討した。石英ガラスの場合、酸素欠陥に由来するとされる約450nmを中心とする発光強度は水素イオン照射の初期に急激に増加し、照射量が増えるとともにやがて飽和、減少する。簡単なモデル計算との比較から、450nmの発光は、高エネルギーではおもに電子励起によって作られると考えられ、さらに電子励起による発光中心の生成にはOH基が関与していると予想される。石英単結晶の場合には照射の初期には450nmの発光はみられず、650nmを中心としたブロードな発光が一定強度で観察されるが、照射量が10S21H/cm2をこえると急激に減少し、450nmの発光強度が急増する。