抄録
水をはじめとする極性溶媒の放射線化学反応に関する知見は、原子力工学をはじめとする工学、医学、環境科学等に幅広く応用され、今後の放射線の高度利用にも非常に重要であるが、放射線分解反応の初期過程ついては、時間分解能等の制約から測定が困難なため不明な点が多い。近年、レーザフォトカソードRF電子銃やフェムト秒レーザの登場により超高時間分解能パルスラジオリシス装置の開発と応用が進められるようになった。溶媒和電子は放射線分解生成物の中でも最もよく研究されてきた化学種であるが、初期収量に関する報告値は様々で一致しない。今回、初期収量の再評価を行い、また電子先駆体のダイナミクス測定から、溶媒和過程を測定し、その過程は溶媒により異なることが判った。