日本原子力学会 年会・大会予稿集
2006年秋の大会
セッションID: G25
会議情報
γ線・電子線利用
微粒子共存溶液中での芳香族系有機化合物の放射線分解初期過程
*小嶋 崇夫谷口 良一奥田 修一清野 智史山本 孝夫
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
酸化物微粒子を共存させた系で芳香族系有機汚染物質のモデルであるフェノールの放射線分解が促進される効果について、放射線照射初期過程で生成する水和電子、OHラジカルなどの短寿命中間活性種の挙動に着目し、その挙動を高時間分解能を有する電子線パルスラジオリシス法による過渡変化測定をスピントラップ剤と用いたラジカル収量測定を併用して観測し、ガンマ線照射後の放射線分解生成物分析の結果と比較した。パルスラジオリシス法による短寿命中間活性種の挙動観測により、微粒子を共存させた水では、純水の放射線照射初期過程に比べてOHラジカルおよび水和電子の初期収量が増加した。マイクロ秒電子線パルスを照射後に生成するフェノール由来の活性種を検出した。この活性種はマイクロ秒の時間領域で減衰し、酸化物微粒子の添加量を増加させると電子線パルス照射直後の初期生成量の減少が観測された。GC・LCによる放射線分解生成物収量の測定では、0.1 wt.%の酸化物微粒子(チタニア、シリカ、アルミナ)を添加したフェノール水溶液を懸濁状態を保つためにバイアル瓶を回転させながら吸収線量率4 kGy/h で吸収線量1-100 kGyとなるようにガンマ線を照射し、生成物を分析した。照射後のフェノール濃度は吸収線量の増加に伴い減少し、20 kGyでは検出限界以下となった。全有機炭素(TOC)測定による分解生成物の測定では、酸化物微粒子を添加したフェノール水溶液を照射すると吸収線量の増加に伴い全有機炭素量が減少した。
著者関連情報
© 2006 一般社団法人 日本原子力学会
前の記事 次の記事
feedback
Top