抄録
動力電源系統のインバータ化の進展に伴い、原子力プラント内のノイズレベルは増大傾向にある。これに対して核計装系では耐ノイズ性を高めるために、遮蔽や接地などの強化策が図られているが、ノイズレベル増大に伴う対策のための施工コストが増加の一途をたどっている。そこで、発生ノイズ源に着目し、プラント内で多く用いられる誘導電動機の起動・停止時に発生するノイズの抑制方法を検討した。三相交流電源の場合、各相の電圧位相が異なっているため、全相同時に開閉すると、電流急変によりノイズが発生する。そこで、電圧位相を考慮して開閉することでノイズ発生を抑制可能であることをシミュレーションで確認した。機械式リレーを用いる従来方式と、半導体スイッチを用いた位相制御方式による電動弁駆動制御装置を試作し、発生ノイズ抑制効果を実験で確認した。この結果、電動弁起動・停止に伴う発生ノイズの電界強度は、位相制御方式ではバックグランドノイズ以下になることがわかり、本方式はプラント内の発生ノイズ低減に極めて有効との結論を得た。