抄録
京都大学エネルギー理工学研究所ではエネルギー科学への応用を目指した中赤外自由電子レーザ(波長4-13μm)の開発を行っている。現在,S-band 熱陰極高周波電子銃と3m加速管により,最大エネルギー40MeV,平均電流80mA,マクロパルス幅4μs の電子ビームの生成に成功している。また,エミッタンス計測の結果,加速管後での電子ビームの規格化エミッタンスは約3πmmmradであった。これらの結果から,FEL用共振ミラーの設計,ゲイン計算が行われ,設計された共振器でFEL増幅を得るためには少なくともピーク電流が10A以上必要であることが分かっている。加速管出口でのミクロパルス長は約10psecであると予測されており,ピーク電流は約3Aと見積もられる。このため,加速管後でバンチ圧縮により,ミクロパルス長を少なくとも3psec程度まで圧縮する必要があり,現在,180度アークを用いたバンチ圧縮部,ストリークカメラによるバンチ長計測系を用いてバンチ圧縮実験中である。大会では,エミッタンス計測,バンチ圧縮実験の結果について発表する予定である。