抄録
近年、原油価格の高止まりと中東地域の原油増産余力への疑問、特に軽質原油の安定調達に対する懸念により、カナダのオイルサンドのような超重質油(ビチューメン)などの非在来型原油資源が注目されている。しかしながら超重質油を製油所のフィードストックとして用いるためには、水素添加または炭素除去などにより在来の原油に近い性状に改質する必要があり、多量の熱エネルギーを必要とする。オイルサンドの改質に原子力エネルギーによる熱を適用することにより炭酸ガスの放出を抑制することが考えられる。
そこで、本研究では、物質収支およびエネルギー収支の観点からビチューメン改質への原子力エネルギーの適用性を評価した。その結果、原子力エネルギーを熱源として用いることが可能であり、また、製品量が5%減少するが、30 万バレル/日のプラントで年間 2.6 Mtの炭酸ガス放出を削減できることを明らかにした。