抄録
わが国における原子力開発利用の歴史は、1957年8月、日本原子力研究所に初めて「原子力の火」がともって以来、およそ半世紀になる。この間、原子力技術の進歩や原子力産業の進展により、わが国の原子力開発利用はその裾野を広げるとともに、さまざまな分野へと展開していった。しかし、この間、わが国における原子力規制はその規制構造を殆ど変えることなく今日にいたっている。このため、現在の原子力規制は「制度疲労」を起こし、合理性・実効性を欠き、信頼醸成を阻害する原子力システムをもたらしている。そこで、現在の原子力規制が有する問題を打破し、適切なガバナンスを実現して原子力システムを運用してゆくためには、原子力事業に係る各ステークホルダーが各々の立場で事業に対する評価を実施し、それを維持する仕組みを整えることが必要である。この仕組みが「知的インフラ」であり、この確立が本研究の目的である。