抄録
アドバンストループ型高速炉では，建設コスト削減の観点から，2ループによる冷却系を検討している．ループ数削減に伴い，従来設計に比べて一次冷却系配管の口径が大型化し，管内流速も増加することから，エルボ曲がり部での流れの偏りに起因する流体励起振動の発生が懸念されている．そこで，本研究では，実機ホットレグ配管の1/8縮尺の配管径で2種類の異なる曲率比を持つエルボを作製し，配管内の流速を高速度PIVにより計測することで，エルボの曲率が流速変動に与える影響を明らかにする．実験では，エルボ部において，配管の軸方向に対して垂直断面と水平断面の瞬時二次元流速ベクトルを取得し，曲率比の異なるそれぞれのエルボでの二次流れの挙動や剥離部近傍の流況を観察した．その結果，曲率比の小さいエルボの方が，エルボ部出口から下流において，二次流れの流速の絶対値および速度変動強度が大きいということが分かった．
