抄録
紫外線やガンマ線を照射した場合、生体内に過剰に活性酸素が発生することが考えられる。活性酸素は脂質、タンパク質、糖、DNAなどを酸化し、疾病や老化を引き起こす原因となる。本研究ではこれら量子線が照射による生体影響を解析する手法として電気化学測定法(サイクリックボルタンメトリー)を用いた。
サイクリックボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry)は、溶液内で電位を一定の速度で変化させ、反応物の酸化・還元電流を測定する手法であり、ピーク電流から電極反応物の濃度を測定できる。CV法は生体組織や細胞に非侵襲で測定可能な利点があり、電極反応物の酸化損傷の評価が可能である。本研究ではCV法を用いて、真核生物である酵母菌およびブタの皮膚に紫外線およびガンマ線を照射した場合の酸化損傷の評価を行うことを試みた。