抄録
本研究では人工ダイヤモンド放射線検出器の実用化を目指し合成したダイヤモンドの電荷キャリア輸送特性評価を行った。241Amからのα線およびUVパルスレーザーを使用し、Ib型基板、CVDダイヤモンド基板上に合成したダイヤモンド自立膜に対して電荷キャリア収集率、ドリフト速度測定を行った。単結晶ダイヤモンドはマイクロ波プラズマCVD法によりダイヤモンド基板(001)面上に合成した。ダイヤモンド自立膜の結晶品質は合成に使用する基板に依存するため、新たに窒素不純物濃度が低い_II_a型基板と、意図的に(001)面を傾けたオフ角制御基板を使用し高品質な基板な合成を目指した。研磨により成長層を自立膜化すると基板が損失してしまうが、Lift-off法と呼ばれるイオン注入を用いたダイヤモンド膜分離法を用いることにより、基板の再利用と薄い自立膜の作製を行った。この手法の導入により使用基板の特性によらないCVD合成が可能となった。