抄録
原子力対話場における専門家と非専門家との非対称性は、「情報の非対称性」として指摘されることが少なくないが、実際にはこれと別種の非対称性も存在することに留意する必要がある。特に、安全を主張する側は危険や疑念を主張する側に比べると、主張の正当性を立証する側には本質的な困難が伴う。これは「立ち位置の非対称性」として表現することが可能である。高レベル放射性廃棄物に関する双方向シンポジウムでもこの立ち位置の非対称性が複数確認されている。本報告では、具体事例の分析に基づき、「立ち位置の非対称性」の詳細について検討した結果を報告する。