抄録
原子力プラントの経年評価のためには、その構造材料の照射損傷を非破壊で適切に把握することが極めて重要である。我々はこれまでに、磁気特性が微細組織や局所的な化学組成等の変化に敏感であり非破壊非接触での測定が可能であることに着目して、着磁後に材料から漏えいする磁束密度によるはじき出し損傷量評価の可能性を示した。しかしながら、試験片全体を永久磁石で挟み着磁する方法では、試験片端部の加工の影響が現れること、実機のように曲率形状を有するものや局所及び狭隘箇所の測定へ適用できないこと等の課題があった。そこで、本研究では、「点状着磁器」を開発し、材料を局所的に着磁することとした。これにより、試験片端部の影響を受けにくい磁気特性を得ることができた。また、実機へ適用するにあたっての制限を大幅に除くことができた。