抄録
本発表においては、福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質や放射線に係る政府及び東京電力からの一次情報に加え、マスメディアによる報道、インターネットを通じた多様な情報源からの二次情報等から得られる内容に着目し、周辺住民及び一般公衆の安全・安心のための合理的選択支援の観点から、リスク・コミュニケーションと専門家の役割について論考する。特に、不必要な不安と風評被害の迅速な回避に向けて、どのような内容の情報が、どのような方法で提供されるべきか。科学リテラシーや関心の異なる各層にどのように正確な科学情報を伝えるべきか。これまで化学物質管理等の分野で培われてきた環境リスク・コミュニケーションの経験を踏まえ、今後重要性が増大すると考えられる喫緊の対応について提案する。