抄録
原子力発電所の冷却水や放射線医療などでは、水の放射線化学が重要である。水に放射線が照射されるとイオン化によって電子が生成し、電子は周囲の水分子6個を配向させて水和して安定化することが知られている。また、フェムト秒レーザー多光子励起実験の結果から水和電子の前駆体として水和前電子が存在することが知られている。しかしながら、水和前電子を経て水和電子が生成するまでは1ピコ秒程度の超高速反応であるため、パルスラジオリシス法による水和電子生成過程の観測には至っていなかった。我々は阪大産研のフォトカソードRF電子銃ライナック(時間分解能240fs)を用いて、水和電子の生成過程の観測に成功した。本発表では、電子の拡散ダイナミクスを明らかにするために電子捕捉剤を用いた結果について報告する。