抄録
本研究では、軸受の中でも最も一般的に使われている転がり軸受の1つである深溝玉軸受の転動体球
を対象に、中性子線や放射光によるX 線回折を利用して、内部にかけての残留応力を測定し、物体内
で起きている破壊・劣化現象を高精度に分析する。残留応力は部材の疲労を示す有力なパラメータで
あるが、実際の回転機器診断において測定されている外部から得られるパラメータ(軸受の劣化によ
って生じるノイズであるAcoustic Emission(AE)信号、振動加速度信号、及び軸受中の油膜内摩耗粒
子数)と応力変化を複合させることでそれぞれのパラメータの相関を解明し、信頼度の高い診断手法
の確立を目指すものである。