抄録
核拡散リスクの確率論的定量評価手法を利用して,核拡散リスクと核拡散抵抗性との相関を調べた.核拡散リスクの評価モデルは,北朝鮮,インド,パキスタン,イラン等の事例を参照に構築した.そして,そのモデルを利用したマルチエージェントシミュレーションを実施して,核開発の検知確率や開発速度などの核拡散抵抗性の変化が,核拡散リスクに与える影響を分析した.結果として,核拡散抵抗性の効果は国家の状況に強く依存すること,そして,抵抗性の増加が核拡散リスクの効果的な低減につながらないケースがあることが示唆された.