日本小児外科学会雑誌
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症例報告
寄生体由来と考えられる両側盲端の腸管を臍帯ヘルニア内に認めた上腹部Heteropagusの1例
岩渕 瀬怜奈服部 健吾津川 二郎西島 栄治渡部 彩田中 聡志中田 有紀岸上 真長坂 美和子池上 等
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2021 年 57 巻 3 号 p. 663-667

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抄録

症例は在胎40週4日,体重2,710 gで出生された男児.上腹部に左下肢を主とした寄生体の結合と臍帯ヘルニアを認め当院へ搬送された.造影CT検査では,自生体の下横隔動脈が体表面で分岐し一方は寄生体へ,一方は臍帯ヘルニア内の囊胞へ向かっていた.日齢5に臍帯ヘルニア根治術を施行.ヘルニア内容は自生体の肝臓の一部と寄生体由来と考えられる両側盲端の腸管であり,後者は摘出した.日齢21に寄生体切離術を施行.寄生体には左下肢,腎臓,膀胱,精巣,陰囊,陰茎が含まれていた.術後経過は良好であり日齢32に退院した.上腹部Heteropagusにおいて寄生体由来の腸管は多様な分布をとり,自生体の臍帯ヘルニア内への迷入や自生体の腸管との連続性を認めることがある.我々は臍帯ヘルニアに寄生体由来と考えられる腸管を認めた上腹部Heteropagusの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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