抄録
ヨウ素は,余裕深度処分やTRU廃棄物の地層処分システムにおいて重要な陰イオン性核種のひとつである。また,セメント系材料は,固化体や処分場の構築上に必要不可欠なものであり,これまで乾燥過程を経たセメント系材料とヨウ素との相互作用についての検討がなされてきた。他方,核種が固化体から天然バリアへ漏出が想定される期間では,セメント系材料は構造体として役目を終え,冠水状態に存在していると考えられる。そこで,本研究では,非乾燥のカルシウムシリケート水和物(CSH)とヨウ素酸イオン,ヨウ化物イオンとの相互作用を検討した。その結果,Ca/S比の0.5の劣化したCSHに対しても双方のイオン形態ともに収着分配係数Kd (ml/g)の値は300以上であり,乾燥させた試料より高い収着性を示した。