抄録
使用済核燃料の再処理等から発生するTRU放射性廃棄物の地層処分においては、セメント系材料が大量に使用されることによる処分場の高アルカリ化が予想されており、その環境下において陰イオンとして振る舞う放射性I-129やC-14、Cl-36などの溶出が懸念されている。特にI-129は長半減期核種であり、廃棄体からの溶出や移行の遅延が最も必要とされる核種であるが、有効な対策は確立されていない。我々は、オマーンに湧出する高アルカリ泉周辺で、地表水と高アルカリ泉の混合により生成するアラゴナイトにヨウ素が選択的に分配されていることを見出していた。しかし、準安定相のアラゴナイトの生成やアラゴナイトへのヨウ素の分配機構についての詳細は明らかになっていない。そこで本研究では実験室において合成実験を行い、カルシウム炭酸塩鉱物の生成およびヨウ素の収着について機構論的に明らかにすることを目的とする。