核融合炉の燃料トリチウム製造に必要なリチウムは、リチウムの中でも約7.6%しか存在しない、希少な6-リチウム(6Li)を多量に使用する。原料のリチウムは、特に希少なレアメタル31元素の一つであり、日本では輸入に100%頼っていることから、リチウムの国内安定確保は、核融合炉実現のため戦略的に取組むべき課題である。そこで、海水からリチウムを効率的に回収する革新的資源回収技術の実用化を目指し、リチウムイオンを選択的に透過可能なイオン液体を用いた電気透析法により、リチウム資源を回収する技術に関する予備的試験を行った。茨城県・大洗海岸の海水を用い、2Vの定電位にて2時間のLi資源回収試験を行ったところ、海水中に高濃度に含まれるNa等のイオンはイオン液体を透過せず、Liイオンのみを透過させ、Li回収液におけるLi回収率は5.94%と低電位測定にもかかわらず高い回収率となり、本技術によりLiイオンのみが選択的に回収できる見通しを得た。