抄録
低放射化バナジウム合金は先進核融合炉構造材料として期待されている。従来の候補材であるV-4Cr-4Ti合金にイットリウム(Y)を添加することで、酸素不純物混入に伴う固溶硬化を抑えることに成功した。YはTiよりも酸素との親和力が強いため、合金内にY酸化物が析出することで、固溶酸素濃度がさらに低減されたため、固溶硬化が抑えられたと考えられる。しかしながら、Y添加による固溶硬化の抑制に伴い、高温強度が低下した。本研究では、高温強度の保持に寄与している侵入型不純物による動的歪み時効と、それに及ぼすYの影響に着目し、Y添加バナジウム合金の高温強度低下のメカニズムを考察した。