抄録
長期運用された原子炉における圧力容器の寿命や放射化量評価のために行われる中性子ドシメトリには、長半減期核種ドシメータの適用が期待されている。特に、93Nb(n,n’)93mNbは反応閾エネルギーが30keVで、93mNbの半減期が16年と長いため、積算中性子ドシメトリで用いる核反応として着目されているが、軟X線スペクトロスコピーによる定量では不純物等からの影響により十分な分析確度が得られないといった問題がある。そこで、本研究では、共鳴イオン化質量分析に基づく93mNb微量分析法の開発を進めている。核異性体による(原子の)エネルギー準位の超微細分裂を区別するために、ドップラー拡がりを抑制したガスジェット原子源と狭帯域な高繰り返し率注入同期チタンサファイアレーザーを組み合わせた体系を提案し、モデル計算を基に核異性体選択性を評価した。