抄録
原子炉など大型構造物におけるレーザー切断技術は、切断幅が小さく、二次生成 物が低減可能であり、遠隔操作性に優れている等の利点より、炉本体や燃料集合体の切断と解体への適用が期待されている。レーザー切断には、従来からCWレーザーの利用が検討されているが、構造材が肉厚の場合、ドロスの大量発生など投入エネルギーに対する掘削効率が良くないことが懸念される。高輝度パルスレーザーの利用により熱的影響が少ない掘削が可能となるが、この方法は切断過程の知見が少ない。
本研究では、高出力であるナノ秒パルスレーザー(Nd:YAGレーザー)を用い、大気圧下及び真空下でのレーザー照射実験を行い、構造材料の掘削深さと形状を評価した。その結果、真空度によって、パルスエネルギーの増加に伴う掘削深さの増減の傾向の違いがみられた。投入エネルギーと掘削深さの関係から、構造物切断におけるパルスレーザーの適用について評価する