抄録
日本原子力研究開発機構は、2030年代の開発途上国等への導入を目指し、商用もしくは実証炉の初号機と位置付けられる小型高温ガス炉システムHTR50Sの概念設計を進めている。HTR50Sの設計は、建設コストの抑制と2030年代の導入を可能とするために、実証試験を必要とする新たな技術はできるだけ用いず、実証されたHTTRの設計技術を改良して用いることを方針とした。その中で、核設計については、出力密度の向上、及び燃料濃縮度数の削減を主な改良項目として検討を進めた。その結果、出力密度をHTTRの1.4倍に向上させるとともに、燃料濃縮度数をHTTRの12種類から3種類に大幅に削減させることに成功した。