抄録
セシウム汚染土壌を湿式プロセスによって除染や減容化する場合,排水中に粘土コロイドが発生する.粘土コロイドは放射性核種を収着する可能性があり,また,粒径が小さいため通常の膜ろ過や自然沈降による除去が困難であるため,末端排水の取り扱いに注意を要する.本研究では,ベントナイトコロイドへのセシウムの収着について,非放射性のセシウムを用いたコールド試験によりセシウムの分配を測定した.具体的には,セシウムを吸着したベントナイトからコロイドを発生させ,精密膜によるろ過操作を行った結果,ろ液側に含まれるセシウム濃度が著しく減少したことから,ベントナイトコロイドに相当量のセシウムが吸着していることを確認した.