日本認知心理学会発表論文集
日本認知心理学会第10回大会
セッションID: P1-12
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ポスター発表1(思考・言語/発達・教育・学習)
全事象確率を考慮する必要がある課題の推論様式の発達的分析
*伊藤 朋子中垣 啓
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キーワード: 確率, 全事象, 発達的研究
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抄録

本研究では,中学生34名と大学生61名を対象に,普通のサイコロをふったとき1の目~6の目までのいずれかの目が出る確率(P=1)を尋ねた(「P(いずれかの目)課題」)。本小問に正判断するためには,全事象の確率を考慮する必要があった。正判断率は,中学生44%,大学生84%で,中学生より大学生の方が,正判断率が有意に高かった。中学生に最も多く出現した誤判断タイプは,P=1/6と考える判断タイプであった。大学生に最も多く出現した誤判断タイプも,P=1/6と考える判断タイプであったが,中学生の出現率の約1/3で,本タイプは特に中学生に大きな割合で出現することが示された(中学生29%,大学生11%)。全事象確率を問う「P(いずれかの目)課題」は,特に中学生にとって難しい課題であることが明らかになった。今後の課題の一つとして,確率的推論と論理的推論の間の関係を明らかにしていくことが挙げられる。

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© 2012 日本認知心理学会
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